令和2年度 東北大学理学部編入試験受験記(生物学科)
- 1.はじめに
- 2.著者情報
- 3.志望先について
- 3-1. 学科
- 3-2. 志望動機
- 3-3. 受験科目
- 4.勉強法
- 5.本試
- 5-1. 生物学
- 5-2. 英語
- 5-3. 面接
- 6.使った参考書等
- 6-1. 生物
- 6-2. 英語
- 終わりに
1. はじめに
2019/9/5にありました、東北大学理学部生物学科特別編入学試験に無事合格しました。この記事では、どのような試験勉強書をしたか、どんな参考書を使ったか等を書き並べます。理学部の受験体験記が非常に少なく、生物学科は無であったため今後受験する人が役立てるように、なるべく詳しく書きたいと思います。
2. 著者情報
中の人がどんな人なのかはこちらの記事に書いたので、興味のある人は飛んでみてください。
3. 志望先について
どうしてこの大学だったのか、など志望先に関することを書きます。
3-1. 学科
東北大学理学部生物学科を志望しました。HPのトップにもある通り、脳や進化、発生、遺伝など生物学の分野を幅広く網羅しており生物で学びたい分野はほぼすべてカバーできるレベルです。また生態学に関してとても強いという特色があります。
3-2.志望動機
現在と卒研でも行っている「ゲノム解析」の手法をより深く学びたいということと、広範な授業をとって生物学をしっかり学び(直し)たいという気持ちがあって、数ある大学の中で珍しく生物学科として募集しているこの学校を選びました。
3-3. 受験科目
試験科目は、生物学・英語・面接のみです。過去問(←取り寄せられます)をみればわかると思いますが、生物も英語も非常に基礎的な知識力と、多少の思考力を見る問題です。正直、高校または高専で一通り勉強した人なら普通に解けてしまうと思います。
3-4. 出願書類
TOIECの点数も、取得資格も求められません。出願者の基礎情報と、志望動機を述べる(800字程度)だけです。この志望動機書に、あなたの熱苦しい思いを書き連ねましょう。面接で志望動機聞かれなかったので...
4. 勉強法
2ヶ月でやった荒療治なので、来年受験の人は多少余裕をもって見てください。逆ににいうと、学校のテスト対策をしながらでも余裕をもって生物と英語をできるくらいの荒さだと思います。
- 生物
「解けてしまう」などといったものの、過去問の初見の印象は「なんとなくわかるけど正答は出せない」感じです。弊高専に関していえば、生物とついているのに全然生物学やらないという大問題のせいでちゃんと高校生物をやらなければ受からないと思います。さらに遺伝子などに関していえば大学レベルの知識力も求められるのでそこもちゃんとカバーした方が絶対にいいです。
なので僕は、高校生物を全範囲やって、遺伝学に関しては別参考書で大学レベルの基礎力を固めました。教科書を読んで問題を解く(問題集4冊)の繰り返しをして、なるべく丸暗記はぜすに「なぜこれが起こるか」因果関係を理解するように努めました。
・英語
英語に関してですが長文読解と作文です。これは琉大編入の記事でも書きましたが、長文読解は地道に伸ばす以外ないので短期決戦はかなり厳しいと思います。早めに対策しましょう。
作文は気合いでやりました(解説になってない)。テーマは毎年変わりますが、字数制限は基本「200語程度」です。自分で「こんなテーマ出そうだな」と考えてそれを200語程度の英文でまとめ、英語教員に添削してもらいあとはそれを繰り返し書いて練習するだけをやりました。なるべくどんな文章でも使えそうな表現法を織り交ぜて、書くのがいいです。予想外のテーマが出たときにもそのまま使って字数を稼げるので。
生物にも英語にも両方に共通することですが、その年のノーベル賞に日本人がいたり、ホットな研究分野があるとその話題が設問に反映される傾向が見て取れました。なので勉強だけでなく、なるべくニュースもみて時事問題もチェックしておくと安心です。また過去問は絶対に入手してください。傾向が絶対に見つかります。(過去問に引っ張られた結果僕は本試で爆死しましたが)
生物学と英作文だけなら2ヶ月(実質1ヶ月でも多分)、十分狙えると思います。
5. 本試
前日は、一応ホテルまで教科書はもっていきましたが、まったくやりませんでした。ただ、英作文は心配だったので、マックス・プランク1のプレスリリースで面白い記事『Epigenetics between the generations(面白いので読んでくれ)』を見つけ、それを英文で要約して何回か推敲して寝ました。
あと温泉ついてたので、宿泊中に風呂は6回くらい入りました。
5-1.生物学
死にました。大問が二つあって、1つはシグナル伝達、もう一つは生態に関する問題でした。ここ数年の傾向から遺伝関係が絶対に出ると踏んでいましたが、まったくわからない細胞間伝達の問題でした。(本庶先生がPD-1でノーベル賞とったのを失念していた大失態)語句穴埋めと記述で、全15問程度ありましたが100%自信をもって書けたのは「地球温暖化」という単語だけでした。(中学生かな?)
幸いなことに記述が多かったので、どうにか知識と有り余る豊かな想像力で解答らしきものをひねり出して全部埋めました。衝撃的に解けず問題あんま覚えてないです、すみません。5割くらいしか当たってない気がする。
5-2. 英語
この時点で重症でした。しかし長文はまぁまぁ読めたので、設問に答えられました。蚊の食欲制御(要は血を吸わせないようにする)に関する科学文章でした。
問題が作文でした。過去数年では、「あなたの興味のある研究」や「あなたが過去二年で最も印象に残ったこと」など割とライトな設問でした。が今年は一味違いました。今年の設問は
「道徳心とは何か、説明せよ。またそのうえでヒトの進化に道徳心が与える影響についてあなたの考えを200字程度でのべよ。」
....??????
そこから記憶にありません。30分でできる限り語数を稼ぎましたがもう後半は「お金ってやべーから、それが原因で遺伝子編集とか悪用されないよう気を付けよ?☆」みたいなもう支離滅裂、ケツが割れてしまいそうなほど必死で英文をひねりだしました。爆死です。
5-3. 面接
ケツが割れてしまい満身創痍でしたが、面接で熱い思いをぶつけようと気合を入れていきました。志望動機やインターンの成果、詳細に喋れるように準備しました。
しかし、これらは全く聞かれませんでした。面接じゃないです。口頭試問です。さきほど僕がひねり出した解答を面接官の先生方がすでにもっていました。そしてそれをもとに、「ここはこうありますがなぜこう書いたのか」、「この英文にはどのような意図が含まれるか」などを問われました。(ここはまだ予想内でした)
そのあとは、調査書(担当教員が執筆)に沿って質問されました。こんな感じです。
面接官「ぽきなわのご出身ということですが、地元で外来種が在来種に襲われるケースはありますか?」
僕「マングースが挙げられると思います。」
面「マングースは実はハブを全然襲ってないんです。なぜだと思いますか。」
僕「うぉふ....」
斜め後ろから斬りつけられました。その後も全然知らない事象に関して「why?」を問われましたが、「わかりません」は無しでとにかく答えました。それがよかったのかもしれません。
こんな感じで予想外だらけでした。ただ本当に考えるべきタイミングで考えられたのは、基礎を定着させたからだと感じています。考えて理解するのをサボらないように努力しましょう。
6. 使った参考書
使った参考書を書いていきます。
6-1. 生物学
- 教科書
・これで分かる生物
- 作者: 文英堂編集部
- 出版社/メーカー: 文英堂
- 発売日: 2013/06/30
- メディア: 単行本
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・理解しやすい生物Ⅰ・Ⅱ
- 作者: 水野丈夫,浅島誠
- 出版社/メーカー: 文英堂
- 発売日: 2008/03/01
- メディア: 単行本
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上の薄めの方を読み進め、不足分はの下の教科書(厚め)で補いました。2~3周はしました。また大学レベルの知識を補うため、研究事例や予想問題を扱う下記の2冊を読みました。
・大学1・2年生のすぐわかる生物
- 作者: 大森茂
- 出版社/メーカー: 東京図書
- 発売日: 2005/05/01
- メディア: 単行本
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・Essential細胞生物学 第4版
- 作者: 中村桂子,松原謙一
- 出版社/メーカー: 南江堂
- 発売日: 2016/03/04
- メディア: 大型本
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両方とも非常に読みごたえがあり、また面白いので、編入対策にも十分使えますし、生物やる人は普通に読んでも良いと思います。それぞれ3周くらい。
- 問題集 基礎を固める為に以下の2冊を使用しました。2周くらい繰り返して不得意なとこだけ後でさらにやりました。
・生物Ⅰ・Ⅱ 基礎問題精講
- 作者: 大森徹
- 出版社/メーカー: 旺文社
- 発売日: 2004/09
- メディア: 単行本
- 購入: 4人 クリック: 59回
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・生物Ⅰ・Ⅱ基礎徹底問題集
- 作者: 大森徹
- 出版社/メーカー: 駿台文庫
- 発売日: 2007/10
- メディア: 単行本
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また、上の基礎問題をベースに、研究事例や詳細な解説を追加してくれている下の問題集もやりました。
・大学1・2年生のすぐわかる演習生物
- 作者: 大森茂
- 出版社/メーカー: 東京図書
- 発売日: 2006/07
- メディア: 単行本
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6-2. 英語
- 参考書 英作文の対策が急務だったので、評判がよさげだった以下だけを軽く読んで、あとは実際に手を動かしました。ポイントが凝縮されているので、今後も参考にしたいです。良書だと思います。
・減点されない英作文 改訂版
- 作者: 河村一誠
- 出版社/メーカー: 学研プラス
- 発売日: 2016/01/12
- メディア: 単行本
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上記に挙げたのは、おそらく様々な参考書の一部であるので、手に届く範囲で探して下さい。高校生物の基礎を固める、かいつまんだ作文ができるようになる、それができればなんでもいいと思います。また、なるべく最新版を手に入れましょう。科学でも生物はわからないことだらけで、昨日まで当たり前だと思われていたことが、ある日急に間違いであったと分かったりするので...
終わりに
情報が非常に少ないので、今回書きましたがこれを鵜呑みにするのはやめてください。自分で過去問を見て、イケると思えるレベルまで勉強すればそれ以上はしなくていいと思います。受かるときは受かるし、落ちるときは落ちます。判断基準が曖昧で、ゴールが設定しにくいですが、悔いの残らないように必死でやりましょう。
合格できると思っていませんでしたが、どうにかこうにか滑り込めました。短期間で集中してやったのが報われてうれしいです。支えてくれた友人や先生方には感謝しかありません。今後も頑張って勉強していきたいと思います。
質問があれば、コメントやTwitterで遠慮なくどうぞ。
また長文になってすみません、読んでくれてありがとうございます。受験の参考やひまつぶしになれば幸いです。
- おまけ
受験前日、もうやる気が起きなくてYouTubeを観ていたらこの動画と偶然出会いました。
正直あまり信用していませんでしたが、試験がボロボロだったので藁にも縋る思いで、この動画内で言われていたことを休憩時間にやって、面接にのぞみました。結果として受かったので今後も続けようかなと思っています。勉強詰め込みすぎず、たまには休んでください。皆さんもご参考のほどに。