Lingua Inevitabilis

くいっと一文

生活態度:非常に良い

なんでこんなに自分は悩んでしまうのか。

さっぱり、皆目見当がつかない。

 

新入生名なのに、コロナウイルスのせいで大学の壮大な敷地に入れない。

安くて美味しい(であろう)学食や、自分が人生で使ってきたお金よりも高い実験施設にこれっぽちも関与できていないのである。

それはそうだ、始まったばかりで機会があまりにも限られているんだからこれは至極当然だ。

 

なのに、なのにだ。

「大学院はどこにいこうか」「専攻は何にしようか」「就職はどこがよくてそのためには何が有利なんだ」ということばかり考える今日この頃である。

 

意味が分からない。

 

高専にいるときもそうだった。

「進学するならどこがいいか」「どういう授業をとればいい成績が残せるか」。

 

本当に悩んで考えてばかりだ。

約束された将来なんてないし、あるポイントで決めた人生設計がその通りにいくことなんてありえない。すべて自分が考えていた通りに行くなら、ケツに毛が刺さって在学中に2回も入院するなんていう企画を人生に盛りこむわけがない。

ただそのおかげで「カテーテル」を知ることができた。あれは不思議なもので、まったく尿をしている感じがない。自分の意識と関係なく気づかないうちに尿が出ている。一切の尿意を感じなかったのに、尿瓶を取り換えてもらうともう溢れんばかりである。あと抜くときもスゴイ。

 

カテーテルはどうでもいい。なぜこんなに先のことばかりに気を取られるのか。

 

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おそらくは、ずっと「イイ子」でいるのが、自分の至上の達成点であり続けたんだろう。

 

小学生の時からイジられるキャラだった。

今、別にそれが嫌とかではないが(むしろ感謝しているが)、小さいときの自分は器が大きくなかったし、大人ぶって割り切ることができなかった。

だから"そういう"奴らを見下していたんだろうと思う。

 

図書館の本をなくした?バカなやつだ。

なんで牛乳ぶちまけるんだ??アホなのか?

ガラス割るとか迷惑かかるのがわからないのか?

どいつもこいつもバカばかり。なんで見つかるような悪さをするんだ??

こんな下衆な奴らと一緒にされちゃ困る。生きてるステージが違う。

 

都道府県を全部覚えているとか、親の本棚にしかないような本を読んでいる自分は周りよりちょっとばかし賢いのだろうと自負をして、"あんな奴ら"とは違うということを先生に見せつけようと掃除をマジメにやったり生徒会をやったりした。

 

 

小学生にしては歪な人生観だ。自分が担任だったらこんなやつと関わりたくない。

 

結局それからも、「見栄」を気にして生きてきたんだろう。

どうすれば怒られないのか。どうすれば良い人生が送れるのか。

 

背筋を伸ばして一生懸命に聞くフリをして、漢字を使って自分の価値感0の見た目に小難しいことを論じた感想文を提出していればオールオッケーだった。

 

 

小学生の時、あいつらと差別化を図ったのをキッカケに、体のネジを締め上げてできるだけ優等生に見えるような、見てくれはシャキッとした、でもカクついた生き方を(無意識のうちに)してきたのだろうと思う。

 

 

 

ここ2年くらいはそれが悔しい。ガラスを割る、休校日に侵入して鬼ごっこをする、校長室に牛乳を投げる。エキサイティングだ。愚直な人間には到底できたもんじゃない。こんなことはもうないのだろうに、してこなかった自分に腹が立つ。

そういう面白い、ここまでのエピソードとこれからの発想が今現在まるで欠如しているように思う。

 

青春時代にさまざまな愚かさを持たなかった人間は、 中年になってからなんの力も持たないだろう。J・A・コリンズ

 

この通りじゃないか。まるで魅力がない。

 

 

一度、悪いことをしてみてはどうかと、就職説明会をサボった。

 

「サボってやった、さぞかしスカっとするだろう」

 

まったく気持ちよくなかった。それどころか不安と自責の念が降りかかってくる。

20年そういう生き方しかしてないから、こういうのに慣れていないのだ。

 

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かくして今もできるだけ安パイを取ろうとする人生を送っている。

 

 

大学の授業を受けているが、人文科学系の授業がもう面白くて仕方がない。

専攻の授業よりも、文学部の教員が担当する授業が万倍と思考を巡らせて楽しむことができる。

理系に足を踏み入れた理由(高専に来た理由)はまたいずれ話すが、もともと国語とか社会科が大好きな人間なので、根本的に自分の持つ感性が理系は向いていない感じがする。

 

どうしよか、そろそろ道を踏み外して(?)好きな勉強をして大学院は韓国専攻を狙おうか。出版社でことばに一生関わろうか。

 

世の中的に言えば、「とりあえず自分が今いるフィールドで、一番興味があるものに注力する」のが常識ある、尤もらしい、賢く且つ評価される選択肢だ。

 

だけど、そろそろ、なにか短編小説の二・三本を書くには困らないくらい生物学の知識もついてるんじゃないだろうか。いつまでもイイ子でいるのもいい加減疲れてくる。

 

今から、どうしようか、文章でも書いてみようか。

最高にエキサイティングな日韓比較文化を年50万つぎ込んで、修士でもとってみようか。

 

 

ああ、あの時に、肩ひじ張らずに、バカなことをいっぱい楽しんでやればよかった。